生活行為向上マネジメント

生活行為

生活行為とは、人が生きていく上で営まれる365日24時間連続する生活全般の行為と定義されます。生活全般の行為には、日常の身のまわりの生活行為、家事などの生活を維持するための生活行為、仕事や趣味、余暇活動などの行為すべてが含まれます。

私たちの生活は生活行為の連続で成り立ち、そのサイクルの中で、その人にとって意味のある生活行為を遂行することで、満足感や充実感を得て、健康であると実感しています。

このような、人のあたりまえの生活行為を理解することが、生活行為向上マネジメントの基本的な考えとなります。

生活行為向上マネジメントのプロセス

作業療法マニュアル57「生活行為向上マネジメント」 16頁 生活行為向上マネジメントプロセス図Ⅱ-4 一部改変

生活行為向上マネジメントのプロセス

各種シート一覧

日付 ファイル 詳細
2015年06月04日 生活行為マネジメントシート 臨床実践で利用しやすいように、生活行為アセスメント演習シートと生活行為向上プランニングシートを1枚にまとめたシートです。
2015年06月04日 生活行為聞き取りシート 生活行為聞き取りシートは、対象者の困っている問題、改善したいことを聞き取り、生活行為の目標を明らかにするもので、支援の根幹となるシートです。
2015年06月04日 興味・関心チェックシート 本人が好きな趣味・役割またはしたいと思っていることを「興味・関心チェックシート」の各項目について聞き取り、チェックします。
このシートを使用することで、漠然とした本人の望む生活行為について的を絞ることができます。
2015年06月04日 生活行為アセスメント演習シート 対象者の客観的評価から、対象者がしたいと思っている生活行為を妨げている要因や強みを特定していくシートです。
2015年06月04日 生活行為向上プラン演習シート アセスメントに基づき、具体的な支援計画を立案するシートです。
目標とした生活行為ができるようになるためには、24時間365日連続する他の多くの生活行為を視野に入れてプランを立てる必要があります。
2015年06月04日 生活行為申し送り表 生活行為向上マネジメントでは、医療機関からの退所時に同職種間や介護支援専門員などの関係職種との連携ツールとして「生活行為申し送り表」を活用します。
生活行為申し送り表は、
  1. 元気な時の状態
  2. 本人の困っている・できるようになりたいこと(本人の意向)
  3. リハビリテーション治療における作業療法の目的と内容
  4. 日常生活の主な過ごし方
  5. 現在の生活状況(ADL/IADLの能力)
  6. アセスメントのまとめと解決すべき課題
  7. 今後継続するとよい支援内容またはプログラム(具体的支援方法)
の7つの項目を申し送ります。これらの項目は、ケアプランの第二表と連動するように配慮されています。

生活行為向上マネジメント実施例

事例は80歳代女性、4年前に夫と死別。水泳や友人との交流を楽しみながら一人暮らしをしていたが、脳梗塞を発症し入院。今後の生活を想像できず生活全般を受身に過ごしていた。
発症1ヶ月後、回復期リハビリテーション病院へ転院し、作業療法にて生活行為向上マネジメントを用いて介入を行うこととなった。
本人の希望は、「プールにいけなくても、家で一人暮らしの生活をしたい。」であった。本人の希望に対する阻害因子や、強み、予後予測をICFに基づいてアセスメント(次表参照)し、「車いすなしで身の回りのことをしたい。
調理・洗濯を自分で行い、家に帰って一人暮らしをしたい。」をいう目標を共有した。

生活行為向上アセスメント

アセスメントを基に、身体機能向上に合わせて、一人暮らしのための洗濯・調理など、具体的な家事動作や日課を管理する方法を取り入れるなかで、記憶の代償手段の獲得や本人が考える一人暮らし生活のイメージが作れるようプラン(次表参照)を立てた。
プランは本人、家族、支援者に分けて記載。上段に計画、下段に実施した結果を記している。

生活行為向上プラン

その結果、日中は独歩、夜間は歩行器による歩行が可能となりADLも入浴時の見守り以外は自立となった。当初1/10レベルであった本人の実行度(やれるという気持ち)と満足度は、最終確認時にはそれぞれ8/10、9/10へと向上した。
地域のサービススタッフと連携し、メモリーノートを活用して自分で家事を行い、訪問介護に実施確認をしてもらい、転院から3ヶ月後に退院となった。
退院後はプールのある通所介護に週2回通い、友達と外出するなど、楽しみと生きがいを持って暮らしている。

役割

1.県士会員向け生活行為向上マネジメントツール研修事業企画運営

  • 概論・演習研修会開催
  • 指導者養成勉強会開催

2.県士会員向け啓蒙事業

  • 協会との連帯推進・情報周知
  • 生活行為向上マネジメントホームページ作成

3.熟練者育成事業

  • 勉強会開催

4.地域活動実態と課題の把握

  • 地域ケア会議等へのOT(士会)の依頼状況などの情報収集分析

5.他機関、他団体、一般市民への普及事業

  • 生活行為向上マネジメントホームページ作成
  • 推進委員による講演活動

名簿

担当理事・岡山推進委員 米井浩太郎(老人保健施設虹)
委員 小坂美江(しげい病院)
佐野裕和(井原市立井原市民病院)
大塚寛之(倉敷医療生活協同組合)
十河正樹(岡山医療専門職大学)
大前和憲(老人保健施設ニューエルダーセンター)
奥井真由美(倉敷紀念病院)
牧卓史(さとう記念病院)
谷口由香(創心會訪問看護リハビリステーション)
MTDLP推進校 岡山医療専門職大学

組織図

組織図

地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアシステム

地域包括ケアシステムとは、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムです。

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地域包括ケアシステムの構成

  • 01医療
  • 02介護
  • 03生活支援
  • 04介護予防
  • 05住まい

地域包括ケアシステムは5つの要素から構成されており、概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(中学校区)を単位として構築することを想定しています。

地域包括ケアシステムは、医療から介護、あるいは介護から医療にスムーズに移行できるように包括的にマネジメントすることが特徴です。どこに住んでいても、その人にとって適切な医療・介護サービスが受けられることを目指しています。
地域包括ケアシステムにおいてリハビリテーション専門職に求められている役割は、「単に高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促し、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組みを支援して、QOLの向上を目指す」(厚生労働省)こととなっています。
これらの目的を遂行するに当たり、個々のケースの課題解決に向けての考え方を整理するツールである生活行為向上マネジメントが期待されています。